Exhibition
Atsuo of the world
2016/10/20-11/15
@Atsugi Road Gallery
ベルリン金鱈美術祭 公式招待記念 緊急特別対談
今回はベルリン金鱈美術祭公式招待記念ということで特別に、初期からのあつおファンであるお二人、今や各界でひっぱりだこのキュレーター、青山絵音さんと、売れっ子評論家、津田大作さんにあつお展について思う存分語っていただきました。
青山絵音さんのプロフィール

津田大作さんのプロフィール
もくじ
2016-10-12
第1回 骨なんてだれも拾わないんです。
2016-10-14
第2回 本気で竜王に勝つ気ありますか?
2016-10-17
第3回 失われた「あいだ」を取り戻す。
2016-10-19
最終回 子どもたちにユーモアを。
第1回 骨なんてだれも拾わないんです。
津田: はじめまして津田です、いやーうれしいな。よろしくお願いいたします。

青山: 青山です。はじめましてですが、書籍や番組などいつも興味深く拝見させていただいています。

津田: さっそくですが、青山さんは今回どうして厚木でこの展示会を企画しようと思ったんですか?

青山: そうですね、あつおは海外での評価は高いのになぜか日本では存在がほとんど知られていないんですよ。それでこの間、香林で一緒にラーメン食べてた時、先生に聞いたんです。「先生、あつおが国内で人気がないのはどうしてなんですかねえ?」って、そうしたら「そりゃ青山君がちゃんと紹介する気がないからでしょう!」って真っ赤な顔して言われてしまって、、。

津田: そんなこと言われたんですね(笑)

青山: それでちょうどANPを授賞してイギリスでやってた展覧会をそのまま日本にもってこれるんじゃないかって話になったんですよね。

津田: ロンドンでまだ会期が残ってて相当もめたって聞きましたけど。

青山: いや、それ言っちゃダメ(笑)もうとにかく「厚木ですぐにやりたい、どこでもいいから場所押さえてくれ」の一点張りで、会場探してやっと見つかったのがあつぎロードギャラリー(笑)でもそれは逆にすごくよかったと思ってます。

津田: 今回の個展で先生は「世界の二極化」について言いたいんだと思うんですけど。

青山: 先生は「今、世界は不安でおおわれている。だから人は物事を白か黒かハッキリさせたくて仕方がなくなっているんだ。」と言っていました。

津田: 不安を解決する特効薬が欲しいということですかね、私も欲しいかもしれません。

青山: 先生からいきなり質問されたことがあって「あなたの子どもに好きな人ができて、その人のことが気になって何も手がつかない。受験もひかえているのにどうしよう?と悩んでいる。その時、あなたは何と言ってあげますか?」と。

津田: それで?

青山: そんなに好きなら「勇気を出して告白してみれば?」と言うと思いますって答えたんです、そうしたら先生、『それは間違っています。大人として「告白してスッキリしちゃいなさいよ」というのはあまりにも無責任な意見です。』ってキッパリ(笑)

津田: では無責任ではない答えとは何なんですか?(笑)

青山: 先生は、大人として教えなければならないのは「告白ほどリスキーなものはない」ということだと。大人は無責任に「当たって砕けろ」と言ってばかり。でも、零戦じゃないんだから「砕けて終わってどーするんだ」と。今は部活中に水が飲める時代、そんな時代に大人として「告白してスッキリしちゃいなさいよ」は流石にないだろうと。

津田: でもそれでは何て言えばいいんですかね?「告白はリスキーだからするんじゃない!」と子どもに言えばいいんですか?(笑)

青山: それが先生曰く「まず、映画から」だと。

津田: え、映画ですか(笑)

青山: 告白すれば答えはYesかNo、二つに一つ。でも映画なら仮にNoだとしても「その映画ちょっと見たかったから」という理由で生き延びれるって言うんです。もし断られても告白して断られたわけではないので、映画を変えてセカンド・チャンスもつくれる。映画が嫌いなら場所をファミレスに変えたりとやっていけば「当たっても砕けずにいられる可能性は果てしなく続くんです。」って言うんです。

津田: そ、それは、目から鱗ですね。

青山: でしょ、でも私はその時ちょっと酔ってたのもあって食ってかかって、「仮に相手がOKしても、それは相手が良いと思っているのは映画だということですよね?」って聞いたんです。相手が本当に自分を好きではないんだったらそれは無駄な時間を過ごすことになるのではないでしょうか?と。

津田: 先生は何と?

青山: 激昂して「そうやって恋する時間まで合理化してどうするっていうの!それを無駄というなら今この時間こそ無駄じゃないの!あんたアメリカの回し者でしょ!」と言って私の頬をびたーんって、しかもなぜか女口調(笑)

津田: 流石ですね(笑)

青山: 私は酔ってたけど先生はシラフなのに泣きながら『青山、今、世界は何でも白黒ハッキリさせたがっているの、もっと他にたくさんの選択肢があるのに。そして大人までもが不安から「まずは当たって砕けろ、骨はひろってやる!」なんて無責任なこと言ってる。だから私は「当たって砕けたって骨を拾う人などいませんよ」だって「骨は拾ったところで何の役にも立たないんだから」ということを個展で言いたい。』と言うんです。そこまで真剣に言われたら女口調であったのは気になったんですけど「はい」と言うしかないですよね(笑)

(つづきます)
第2回 本気で竜王に勝つ気ありますか?
津田: 今回の展示作品には就職活動をしている人へ向けたように思われるものもありますね?

青山: このあいだ先生と居酒屋で飲んでいて、たまたま隣に座った就職活動中の学生から相談を受けたんです。その学生は50社受けて内定一つももらえないとのことで。

津田: そういう学生、増えてるみたいですね。

青山: 50社も受けてダメなんてとんでもないやつなのかと思いきや、話を聞くとまじめで自分の意見も持っていて、もちろん若いから未熟ではあるんだけど。

津田: 今は企業も未熟な人を受け入れる余裕がないですからね。

青山: それでその学生が最終面接で「時間、距離を越えてこの会社に尽くすことはできますか?」と聞かれたんですって。

津田: はい。

青山: その学生は面接官に「時間と距離を越えるなんて物理的に不可能です、だからできません」って言ったらしい。

津田: (笑)

青山: それでケロっとした顔で「面接官は不快そうでした」って言うから「さすがにそれはまずいでしょ」と言ったら、先生が「青山くん、それのどこがまずいんですか」と。

津田: きましたね(笑)

青山: 先生は『あなたレベル1なのに「ラスボス倒しに行ってきなさい、気合いでなんとかなる!」って上司に言われたらどうしますか?』と言うんです。

津田: レベル1(笑)

青山: 「さすがにレベル1は無理ですね」って言ったら先生「できないことをできないって言って何が悪いんですか?あなたの言ってることと面接官の言うことにどんなちがいがあるんですか?」と。

津田: 思わぬ所からつついてきますね(笑)

青山: それで『青山、ゲームもまだスタートしてないのに「今から時間と距離を越えて竜王たおしにいけますか?って」あなたそれで行けると思うの?まだルーラもおぼえてないのに。』と(笑)

津田: まあ、面接官も本気で言っているわけではないですからね。

青山: そう、私も言われっぱなしは悔しいので「先生、面接官も比喩で言ってるんですからそんな揚げ足取らなくてもよいんではないですか?」と反撃しました。

津田: (笑)

青山: そうしたら先生は「面接官が比喩でそう言ったのなら、本当はなんて言いたかったのですか?」と。

津田: あ!

青山: もうね、まんまと(笑)

津田: そうかー。

青山: 先生、「あなたこの学生より分かってないけど、それで今回の個展まかせて大丈夫なのかな?」と言いだしまして(笑)

津田: してやられましたね。

青山: 結局はここでも「当たって砕けろ」という幻想を使って、大人が子どもを惑わしているんだと先生は言うんです。面接官は「会社のためならいつでも当たって砕けることができますか?」と誓約をさせているのだと。そして「そんなことはできません」と言った人の方が失礼だと言われる。これはもう社会全体がメダパニをかけられた状態だと言っておられました(笑)

津田: なるほどー、さすがですね。まあ、でもその学生、就職が無事に決まるとよいですね。

青山: 先生は最後、学生に「レベルを上げて、良い仲間を見つけて、武器をしっかりそろえてボスに挑もう。本当に倒したいボスはひのきの棒じゃたおせんよ」とおっしゃってました。

(つづきます)
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第3回 失われた「あいだ」を取り戻す。
津田: 個展のタイトルに「公式と非公式の間」とありますが公式と非公式についてどう思われますか?

青山: 公式と非公式についてというよりも公式と非公式の「あいだ」が気になっています。

津田: 「あいだ」が気になるとはいったいどういうことなのでしょうか?

青山: ものごとは白と黒だけでは決めれません。白と黒のあいだには灰色があります。でも今、人々は灰色を恐れています、灰色がどんな色か見ようともしません。街はジョージ・オーウェルの「1984」さながら監視カメラであふれかえり、自分たちで見たものよりもそこに録画されたものを信じるようになっています。人は不安や恐怖から灰色がどんなものかを自分たちの目で見るのを止めてしまったのです。

津田: スマホのカメラも監視カメラと捉えることもできますね。

青山: それはあまりにもネガティブですが、「誰かに見られている」という感覚は今、誰しも持っているのではないでしょうか?

津田: テレビで「モニタリング」という番組が放送されてるぐらいですからね。人はもうそれを楽しもうとする所まできてしまっている。

青山: 私は先生がロンドンでANPを受賞した展覧会を見た時に「これは不安からあいだを取り戻す戦いなんだ」と感じました。これはもっといろんな人に見せなければいけない、スポンサーを募って大々的にやろうと。

津田: それなのになぜ厚木で(笑)

青山: 先生が言うんです。「青山くん、厚木でだめならどこ行ったってだめですよ」と。

津田: でましたね(笑)

青山: 厚木では石上純也さんデザインのアミューあつぎのロゴや、地下道にあるKRESSEYEさんのグラフィティは市民にあまり浸透していません。それだけ厚木市民の目は厳しいんです(笑)

津田: そ、それは手強い、だからこそ挑戦する価値があるということですね。

青山: そうなんです、「でもやるんだよ」と(笑)

津田: しかしなぜスポンサーをつけなかったのでしょうか?ANP授賞もありますし、もっと大きくやってもよかったのではと思うのですが。

青山: 当初は、大々的にやらなければならないと思っていたんです。でも先生が『青山くん。最初に大きな箱をつくって「流行ってますよ」というやり方はかっこわるいです。まずは小さな部屋を作って、それを大きくしていくというのが基本です。』と言われて、ハッとしました。

津田: かっこわるい(笑)

青山: あとは、スポンサーがついてしまうと言いたいことを何も言えなくなってしまうということがあります。最初、夢を持って引き受けた案件が終わってみれば「やらなければよかったな」と思う事例を何件も見てきました。ポジティブな「ありがとう、みんなの力で」的な発言をして、飲み屋ではスポンサーの悪口を言っているプロデューサーをたくさん見てきました、そして自分がそうなっている時もあります(笑)。スポンサー制度を否定するわけではありませんが、今回は必要ないと判断しました。

津田: 今はクラウドファンディングで資金を集めるというやり方もありますよね。

青山: クラウドファンディングはお金の出所が企業からか個人からかの差だけで、スポンサー制度ということに変わりはないんです。考えてみてください、市や商店街の意見だけでもまとめるのが大変なのに、見ず知らずの会ったこともない人たちをまとめることなんて、どれだけ大変なのかということを(笑)

津田: たしかに、私なんて妻との意見をまとめるのですら大変です(笑)

青山: まあ今回はスポンサーの意見をまとめている時間がなかったというのが本音ですね、厚木は手強いですから(笑)でも展示はちゃんと開催にこぎつけましたのでご安心ください。

(つづきます)
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最終回 子どもたちにユーモアを。
津田: 今回の展示はどのような人に見に来てほしいでしょうか?

青山: 愛を探してる人ですね。

津田: と、いいますと?

青山: 世界にある不安の処方箋が愛だと信じているからです。視点を「愛」にすると、不安の壁をくずすことができます。もし今、何かに不安になっている人、道にまよっている人がいたらぜひ見に来てほしいです。

津田: 厚木の飲み屋では「シン・ゴジラ」、「君の名は」に次ぐヒット作になるのではないかと言われていますが。

青山: 厚木の飲み屋で言われているのなら確実にそうなるでしょうね。厚木の飲み屋で話されていることはすべて真実ですから。

津田: 無料のロードギャラリーなので子どもでも行きやすいのもすごくいいですね。

青山: そうなんです、学生も学校行事で来ていただければうれしいと思いまして。親子で来てもいろいろ話せて楽しいですしね。

津田: 家にも高2の娘がいるんですが最近まったく会話がないんですよ。会期中に誘って一緒に行ってみようかと思います。

青山: パパの良い所見せれるといいですね(笑)

津田: 娘に恋愛相談されたら「まず、映画から」と言うようにします(笑)

青山: そういえば会場のあつぎロードギャラリー、今は禁止になってしまったのですが以前はよく若い子がダンスの練習をしてたんですよ。

津田: 大きなガラスがあるところでダンスの練習しているのはよく見る風景ですね。

青山: なにかいろいろあって禁止にしたんでしょうけど、禁止にする以外の解決方法はなかったのかなとよく考えていたんですよ。

津田: 時が流れるにつれ、子どもたちには禁止事項が多くなっていきますね。ボール遊びが禁止の公園もあるそうです。

青山: 結局何かを禁止するのも不安からなんですよね。おばけがこわいのもよくわからなくて不安だからです。でもおばけと友達になれれば不安はなくなりますよね。今回の個展で地下道にある不安なイメージを取り除いて、何か問題を解決できる糸口が見つかるのではないかと思ったんです。いろいろな人が集まればそこに秩序が生まれ、監視カメラではないもので解決できるのではないかと。

津田: もしそれが可能なら世の中は楽しくなりますね。

青山: 私は可能だと思っています。

津田: では最後に個展を見に来てくれるみなさまに一言おねがいします。

青山: ビートルズは「愛こそはすべて」と歌いました。白黒つける、善悪にわける。何気なくそれでいいと思っていることも、立場が違えば視点も変わります。いろいろな考え方や、見方ができたほうが人生は豊かになるのではないかと思います。自由な視点や曖昧さの中に、人間らしさがあり、豊かさがあるのだとも思います。子どもたちにも、子どもを育てる社会にもユーモアを持って伝えられたらと企画しました。どうぞ「世界のあつお展」に足をお運びください。

(対談終わり)
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世界のあつお展 -公式と非公式の間-


会期|平成28年10月20日〜平成28年11月15日
場所|あつぎロードギャラリー(厚木地下道・厚木バスセンター西側、あつぎなかちょう大通り商店街地下)
入場無料|会期中、地下道が通れる時間帯は自由にご覧いただけます。スタッフは常駐しません。
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