急募という言葉とは裏腹に、ほんわりとしたイラストが見るものをなごませる。「急」と「募」の間に空いたスペースもこのチラシをまったりとしたものにしている。きっとデザインした人はのんびり屋さんなのだ。
takeshi のすべての投稿
濁点について
濁点の「点」は、なぜ二つなのだろう?
一つや三つだったらどうだろう?
ふと、そう思った。
そして試してみた。





濁点は一つだけだと、2)のように付けていないと勘違いされてしまう可能性があります。しかしあとは「何個つけようが濁点として認識してくれるだろう」ということが分かりました。以上をふまえて次の文字は読めるでしょうか?


濁点は余分にあっても読むことができるし、なによりその余分から生まれたなんとも言えない雰囲気は、気持ちをたのしくさせてくれます。こんなことを気づかせてくれてありがとう、濁点よ。
きもちよさ
つるっとした曲線のカーブがきもちいい。
ゆったりとした文字の間隔がきもちいい。
くしゃくしゃっと丸めた紙がきもちいい。
誰もが無意識のうちに感じている、そこを刺激して掘り出すことができるグラフィックはすごい。
ペーパーバッグに表紙カバーは必要か?
元ソニック・ユース、ファッションブランド、X-girlの創始者、キム・ゴードンが書いたGIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝という本がすごく面白かったです。
しかし1点気になる所がありました。
この本、ペーパーバックなのにカバーがついているんです。
これは推測するに、表紙カバーをつけるかつけないかで、売り上げにかなりの違いがでるのではないか、ということです。
ペーパーバッグにカバーをつけるというのは、バンクシーのグラフィティを額に入れてしまう様なことだと思うんです。

好みのだと思うのですが、ペーパーバッグはカバーがない方がかっこいいと思います。
追記
編集者の知人にこの話をした所、日本には返本制度があり、返本された際にカバーを取り替えればもう一度市場に出すことができるのだそうです。なのでカバーをつけたほうが長く扱ってもらえるということなんだそうです。私のカバーの有無で売り上げに違いがある云々という推測は間違っていました、すみません、、。
検証 /// 文字の大きさをだんだん小さくする
紙に字を書いていると、だんだんスペースがなくなってきて「あ、このままでは書き終わらない!」という経験をしたことはないでしょうか?

これは紙とペンというアナログだからこそおこる現象で、デジタルの場合はおこりません。当たり前ですがデジタルは後から簡単にフォントサイズを変えられるので足りなかったら全体のサイズを調節すればよいからです。
でもこのように人の書いたものは整ってはいませんが、なんとも味があっていいものです。そこでふと、思ったのです。「これをデジタルでやったらどうなるんだろう?」と。
「このいそがしい時期にそんなことをやっている暇があるのかしら?」という冷たい視線を隣から感じたりもしますが、こちとらこれが楽しくてデザインをやっているので、普段よりもスペシャルなコーヒーを自主的に入れたりとまわりの機嫌をとりながらコソコソと検証してみたいと思います。

いかがでしょうか?文字の大きさは気になりませんね、けっこう良い。ユーモラスな感じもします。
しかしです、「これは文章の中身と文字の大きさがリンクしているからユーモラスな感じをうけるのではないだろうか?」という疑問がわきました。そこで文章の内容に効果とは関係ないものを用意しました。

どうでしょう?文字がだんだん小さくなってもパッと見わからないですね。このままどんどん小さくしていけばおもしろい感じになりそうです。
どこに使えるかはまだよくわかりませんが、いろいろな所で使えそうな気がしてきました。
A NEW AMERICAN PICTURE
ホンマタカシさんの著書「たのしい写真3」で知った、Doug Rickardさんの「A New American Picture」という写真集。
アメリカのストリートシーンを写したものなのですが、なんと写真はすべてGoogleのストリートビューを再撮影したものなのです。

アマゾンのレビューを見ると「Photography or editing?(写真なのか編集なのか?)」と書いてる人がいましたが、私はどちらかというとDJみたいなものなのではないかと思います。
この写真集に「写真か編集か?」と問うのは、DJに「あんたはミュージシャンかどうか?」とたずねるのに似ている気がします。DJがまだ一般的でなかった頃、「人のレコードかけてミュージシャンってなんだそれ?」という意見がたくさんあったと記憶しています。
それにしても部屋から一歩も出ずにアメリカを写し出す、クールです。しかしお母さんには「あんた部屋にこもってないで外で遊びなさい!」と怒られてしまうことでしょう。
チラシの研究(001)
一見すると普通のチラシだが、
裏面が履歴書になっている。
応募者にとって一番面倒な履歴書を買いに行くというのを省略。お歳暮の時期に猫の手も借りたいという募集者の気持ちがヒシヒシと伝わってくるチラシです。
割れた液晶。
スマートフォンを落として液晶画面を割ってしまった。
そのひび割れはとてもきれいな線を描いている。
自分で落としたにもかかわらず、その線にはまったく自我が入っていない。
割れてしまってはいるがスマートフォンとしての機能は問題なく果たしている。
機能をデザインが少しだけこえる時、それはすごくおもしろいものになる。
そういうデザインを見るとすごく幸せな気分になるし、自分もそういうものを作りたいと思う。
なぜ漫画を理解できるのか?
なぜ私たちは漫画を理解できるのでしょうか?
こちらを見てください。
なんとなく何がおこっているのか理解できませんか?
これは私たちが吹き出しやコマ割り、集中線にどんな意味があるかという漫画の記号をわかっているからです。
私たちはひらがなを理解することができます、それは国語の授業で習ったからです。では漫画の記号はどこで誰にならったのでしょうか?
漫画の読解力はどこでならったわけでもなく、漫画を読むことによって自然と身についているわけです。これはわざわざ勉強せずともグラフィックの文法を身につけていると言い換えてもよいでしょう。
「漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい!」という表現はいささか古いものだよな、と。漫画はグラフィック的には宝の山で、それを感覚的に身につけることのできる素晴らしいものなのですから。
平面の階層について
平面の階層というと難しくきこえますが、見ていただければ簡単です。
この画像、どう見えますか?
このような二つの画像がくっついてると思いましたか?
それともこのように正方形に黒い図形が乗っかっていると思いましたか?
同じ図形をみてもこのようにちがう解釈ができます。しかし、どちらも平面を立体的に見ているということを感じていただけたと思います。
平面なのに立体?
この矛盾がグラフィックの面白いところです。平面に階層を与えることができる、時には次元まで越えてしまうのです。
紙一枚で次元を越えてしまうことができる、グラフィックの力は偉大です。
参考)デザインの手がかり