なぜ私たちは漫画を理解できるのでしょうか?
こちらを見てください。

なんとなく何がおこっているのか理解できませんか?
これは私たちが吹き出しやコマ割り、集中線にどんな意味があるかという漫画の記号をわかっているからです。
私たちはひらがなを理解することができます、それは国語の授業で習ったからです。では漫画の記号はどこで誰にならったのでしょうか?
漫画の読解力はどこでならったわけでもなく、漫画を読むことによって自然と身についているわけです。これはわざわざ勉強せずともグラフィックの文法を身につけていると言い換えてもよいでしょう。
「漫画ばっかり読んでないで勉強しなさい!」という表現はいささか古いものだよな、と。漫画はグラフィック的には宝の山で、それを感覚的に身につけることのできる素晴らしいものなのですから。
平面の階層というと難しくきこえますが、見ていただければ簡単です。
この画像、どう見えますか?
このような二つの画像がくっついてると思いましたか?
それともこのように正方形に黒い図形が乗っかっていると思いましたか?
同じ図形をみてもこのようにちがう解釈ができます。しかし、どちらも平面を立体的に見ているということを感じていただけたと思います。
平面なのに立体?
この矛盾がグラフィックの面白いところです。平面に階層を与えることができる、時には次元まで越えてしまうのです。
紙一枚で次元を越えてしまうことができる、グラフィックの力は偉大です。
参考)デザインの手がかり
お蕎麦屋さんで頼んだお酒のグラスが金継ぎされていました。
直して使おうという思いやり、割れたマイナス部分に新たに加えられた美しさ、すべてがよい感じにデザインされている。
ティラミスでやりたいのってこういうことなんだよなぁ。
大事に使ってもらえるものをつくりたい、心を込めて。
様々な解釈と視点があるからこそ、この世界は自由で豊かですばらしいのだと。
映画「FAKE」のパンフレットから森達也さんの言葉。監督の作品は毎回揺さぶられてしまいます。
それにつけても、と思う。「ものを包むということは、心を包むということだ」という故安藤鶴夫氏のことばは、たとえ時代がどのように変わっても、結局、かわることのないパッケージの本質を、実に見事にいい得ている、と。パッケージに付随するさまざまな要素や条件をギリギリのところまではぎ取って、なおかつ残る最後のもの、それは再三いうように「人間自身」である。そして、人間を人間たらしめているものは、心なのだ。
via 世界のグラフィックデザイン5 パッケージ 岡秀行編 1974年 講談社
よく三千円の入場料を払ったけど、あのステージなら三千円の価値はあった、なんて言うでしょう。あの考え方が、僕は、全部をダメにしている、という気がするんですね。得だ、と言われて、動かされている時代は、やっぱり貧しい時代だと思う。
via 天野祐吉対話集 さよなら広告 さよならニッポン
対談の中で糸井重里さんがおっしゃっていた言葉です。
極端に言えばデザインには良し悪しはありません。ただその目的に適したデザインと適さないデザインがあるだけだ。
via マンガ入門 しりあがり寿(著)
肝に銘じておこう。

via 日本のタイポグラフィ(誠文堂新光社)
「最近の若者はすぐ仕事をやめる」という話、よく耳にします。
実際は、学校卒業後の離職率は1980年代後半からほぼ変わらないそうです。《*》
景気の良い時に採用された人は離職率が低いそうです。どうしてかと言うと条件のよい時に入った人は「辞めるのはもったいない」と離職しないので、その年代の離職率は下がるということです。
そもそも年齢を重ねれば離職率が低くなるのは当然で、それを盾に「最近の若者はすぐ、、」というのはちょっと「大人げない」ですよね。
若者による事件があると「最近の若者は、、」と言われますが、大人が事件をおこしても「最近の大人は、、」と言われることはありません。
もしティラミスがお客さまに「最近の若者はすぐ仕事をやめる」というのを違ったアプローチで言いたいと依頼されたら「若者は年長者よりはすぐ仕事をやめてしまう。なぜなら人生経験も少なく、いろいろなことにチャレンジできる可能性に満ちているからだ」という風になります。
自分を信じないで
信念に惑わされないで
死を解き放つことで
知識はやってくる
Don’t believe in yourself
Don’t deceive with belief
Knowledge comes
with death’s release
via David Bowie – Quicksand
この一節を聴くと「自分を信じて」というのがきな臭く思えてきます。
神奈川県厚木市から、デザインとアイデアとやさしさと