「日誌」カテゴリーアーカイブ

パッケージ|さがみのおとめ

厚木産の津久井在来大豆のみでつくられた納豆「さがみのおとめ」のパッケージラベルをデザインさせていただきました。

昔ながらのろう紙・松経木による三角包装でていねいに手作りされた納豆。
昔ながらのろう紙・松経木による三角包装でていねいに手作りされた納豆。

津久井在来大豆

津久井在来大豆は糖度が高いのが特徴で、神奈川県津久井地区の農家で自家用に作られ、「おいしいから」という理由で市場には出回らずに残ってきた大豆です。ただ、それを加工して食べるには職人の高い技術なしに商品化は難しいと言われています。

厚木産の津久井在来大豆を表す家紋風アイコンを製作しました。
厚木産の津久井在来大豆を表す家紋風アイコンを製作しました。

相模屋さんからの依頼

厚木で酒処を営む相模屋さん、普段おつきあいのある厚木の農家さんが作った津久井在来の大豆のおいしさに驚き、これをつかって何かできないかと考えたそうです。そしておつきあいのある高い技術を持った納豆職人さんに頼んで納豆をつくってもらったら、とてもおいしい納豆ができあがりました。そこで相模屋さんとおつきあいのあるティラミスに「ラベルをデザインしてもらえないか?」というお話をいただきました。

人の縁から生まれた納豆

相模屋さん、厚木の農家さん、高い技術をもった納豆職人さんが関わってできた納豆、ラベルにも人の縁をデザインしました。

商品タイトルは大山の一部を思わせながら、三角包装に合う三角形をかたちづくっています。 三つのマークは人を表し、大山のイラストも人をモチーフとした線で構成されています。
商品タイトルは大山の一部を思わせながら、三角包装に合う三角形をかたちづくっています。
三つのマークは人を表し、大山のイラストも人をモチーフとした線で構成されています。
ろう引き紙の質感を損なわないよう紙はトレーシングペーパーを使いました。トレーシングペーパーの透けがどこか懐かしさを感じさせます。
ろう引き紙の質感を損なわないよう紙はトレーシングペーパーを使いました。トレーシングペーパーの透けがどこか懐かしさを感じさせます。

人が集まっておいしいものができる、そういうのっていいなあとしみじみ思いました。

お問い合わせ

どんなことでもお気軽にお問い合わせ下さい。

金継ぎ

お蕎麦屋さんで頼んだお酒のグラスが金継ぎされていました。

直して使おうという思いやり、割れたマイナス部分に新たに加えられた美しさ、すべてがよい感じにデザインされている。

ティラミスでやりたいのってこういうことなんだよなぁ。

大事に使ってもらえるものをつくりたい、心を込めて。

LOVELY QUOTES VIA 世界のグラフィックデザイン5 パッケージ

それにつけても、と思う。「ものを包むということは、心を包むということだ」という故安藤鶴夫氏のことばは、たとえ時代がどのように変わっても、結局、かわることのないパッケージの本質を、実に見事にいい得ている、と。パッケージに付随するさまざまな要素や条件をギリギリのところまではぎ取って、なおかつ残る最後のもの、それは再三いうように「人間自身」である。そして、人間を人間たらしめているものは、心なのだ。

via 世界のグラフィックデザイン5 パッケージ 岡秀行編 1974年 講談社

LOVELY QUOTES VIA 天野祐吉対話集

よく三千円の入場料を払ったけど、あのステージなら三千円の価値はあった、なんて言うでしょう。あの考え方が、僕は、全部をダメにしている、という気がするんですね。得だ、と言われて、動かされている時代は、やっぱり貧しい時代だと思う。

via 天野祐吉対話集 さよなら広告 さよならニッポン

対談の中で糸井重里さんがおっしゃっていた言葉です。

オンラインストア制作|彩花

東京都世田谷区にある花処「彩花」のオンラインストアを制作しました。

じゅん散歩でも紹介された「彩花」さんは、花屋だけど花屋でないこともやっているというユニークなお店です。

オンラインストア

彩花さんにはホームページを作った際に「ゆくゆくはオンラインストアもやりたい」とお話をうかがっていました。彩花さんが取り扱っている和バラは都内ではここでしか買えないものです。ですので「通販をしてほしい」という声がたくさん出てきたため、オンラインストアをつくりたいとのご希望でした。

どこのシステムを使うか?

現在、オンラインストアのシステムは無料から有料のものまで色々な選択肢があります。メリット、デメリットは「何をどれだけ売るか」などで変わってきます。今回は使いたい機能やランニングコストを考えて「カラーミーショップ」を選択しました。

一番大切なこと

彩花さんがショッピングページで一番大切にされている事は、大手の花屋さんのような細分化されたカテゴリー分けや、分かりやすさではなく「花を贈る方の想い・イメージが相手の方に届くこと」でした。

大切なのは「贈る方の想い・イメージが届くこと」と話す彩花の主人と女将。それをコンセプトとしてしっかりと明記。
大切なのは「贈る方の想い・イメージが届くこと」と話す彩花の主人と女将。それをコンセプトとしてしっかりと明記。

機能をそぎ落とす

一番大切なことを伝えるために、使えるありったけの機能を使うのではなく「本当に必要なものだけを厳選して使う」ことにしました。必要のない情報をたらい回しにさせられるよりも、大切な人に大切な想いが直接伝わるように。

絞り込まれたメニュー
必要最小限に絞り込まれたメニュー、カテゴリー分け。

完成

出来上がったオンラインストアは彩花の主人、女将、お二人の想いが伝わるものになったのではないかと思います。主人の石田さまはオンラインストアが完成して「みなさまとの懸け橋が開通しました」とおっしゃられてました。その人柄を現すような言葉に作った私たちもうれしくなりました。

彩花オンラインストア
 

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お問い合わせ

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パンフレット|やまなみ農園

きっかけ

やまなみ農園を知ったのはティラミスで名刺を担当した「神奈川の酒処相模屋」さんが主催するファーマーマーケットでした。

そこでやまなみ農園の鈴木さんが作った野菜を買い、その野菜のおいしさと鈴木さんがやっている提携販売というものに興味を持ちました。なぜ提携販売に興味を持ったのかというと、ちょうどその頃「食べることも愛することも、耕すことから始まる-脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活」という本を読んでいて、そこに提携販売について触れる所があり、しかも提携販売の発祥は日本であるということが書いてあったからです。

この本で提携販売に興味を持ちました。
この本で提携販売に興味を持ちました。

やまなみ農園の野菜は美味く、興味もあったので提携販売をお願いしました。

提携販売に触れる

そんな縁があり、提携販売を開始しました。すると野菜は生産者の鈴木さん自ら届けてくれます。その際に鈴木さんは持ってきてくれた野菜の話をしてくれます。中には見たこともない野菜があり、オススメの調理法なども教えてくれます。こうして鈴木さんが来るたびに私たちは野菜について様々なことを知るようになりました。

鈴木さんから仕入れた知識をティラミスの個展で披露しました。
鈴木さんから仕入れた知識をティラミスの個展で披露しました。

良いことばかりではない

安くて、うまくて、安心できる。「提携販売は良いところしかないじゃないか」と思うけれど、不便な所もあります。スーパーのように一年中同じ品揃えがあるわけではないし、天候が悪ければセット野菜の量も減ってしまいます。しかし私たちはそれを不便だとは思いませんでした。それは「どうしてそうなるのか?」ということを鈴木さんがちゃんと説明してくれていたからです。

せっかく作った野菜がイノシシや鹿にやられてしまうこともあるそうです。
虫はすべて手でとります。せっかく作った野菜がイノシシや鹿にやられてしまうこともあるそうです。

パンフレット制作の依頼

提携販売をはじめてから一年ほどたったころでしょうか、鈴木さんから提携販売先を増やすためのパンフレットの依頼をいただきました。

「便利=良い」というわけではない

私たちが提携販売で知ったことは、便利さと引き換えに失っていた多くの事でした。旬の素材を新鮮にいただくことや、作っている人から直接買えるうれしさ、天候や野生動物は自分たちが食べる野菜をおびやかす存在でもあること。欲しい物がいつでも手に入るということがあやしく思えたりもしました。

言いたい事がありすぎて

鈴木さんから聞いたやまなみ農園のこと、私たちの思うやまなみ農園のこと、全てをあげるとA5のスペースに収まるものではありません。これはぜひ言っておきたいというものを選別してもまだ収まる感じはありませんでした。

そこで私たちがなぜやまなみ農園の提携販売を続けているのかを考えました。そうして気がついたのは、私たちはやまなみ農園から野菜だけを買っているわけではなく、鈴木さんから野菜を通して色々な体験を含めてお金を払っているということでした。

鈴木さん自作のパンフレット
鈴木さん自作のパンフレット

全部言わなくても

「鈴木さんのやっているやまなみ農園に興味をもってもらう」という所さえパンフレットで出来れば、きっとやまなみ農園の良さは鈴木さんを通して分かってもらえると考えました。入り口は少しカジュアルに、そう考えるとパンフレットにのせるべきことが見えてきました。

やまなみ農園のかぶ。しぜんの甘みが心地よい。
やまなみ農園のかぶ。しぜんの甘みが心地よい。

おいしいを使わずにおいしいと思ってもらう

やまなみ農園の野菜を表現する時に「おいしい」と表記するのは「何かちがうな」という気持ちがありました。おいしい理由をあれこれ書いて「だからおいしいんだ」というのも違う気がします。パンフレットを見てくれた方が「ああ、ここの野菜おいしそうだなあ、頼んでみようかな」と思ってくれる。そんなものにしたいと思いました。なのでパンフレットのどこを見ても「おいしい」とは書いてありません。最終的においしいかどうかを判断するのはパンフレットを見た人、鈴木さんから野菜を提携して食べた人が思ってもらうことだと思ったのです。

完成したパンフレット

A5パンフレット2つ折

鈴木さんが自分で作っていたパンフレットとティラミスで制作したパンフレット。農園に対する思いは同じですが、それを人につたえるアプローチを見直すと出来上がるものもちがいます。

私たちはより多くの人がやまなみ農園を通して提携販売の楽しさを体験することは、社会にとってよいことだと思っています。今回つくったパンフレットがその助けになれば、社会貢献になるのではないかと思いました。

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