忘れてしまう

SNSでフォロワーをお金で買う投稿を見かけた時に、強烈な嫌悪感がこみ上げてきた。しかし、ふと昔の自分を思い出す。「プレゼントに応募するにはフォローしてください」と謳ったキャンペーンを、自分も行っていたのだ。

人は過去を、都合よく忘れ去ろうとする生き物だ。どれだけ巧妙に隠し通したつもりでも、他人を欺けたとしても、自分の心は決してごまかせない。結局、嫌悪感は他者ではなく、自分自身に向けられていたものだった。

私たちは、時に自分の行動を正当化するために過去を忘れようとする。しかし、忘却の代償は大きい。過去に目を背ければ背けるほど、その影は私たちの中で大きくなり、知らぬ間に今の自分を苦しめる。

10年前、あのキャンペーンを行った時、私はその行為に疑問を抱かなかった。むしろ、効率的なマーケティングだと思っていた。だが、今こうして自分が感じる嫌悪感は、当時の私が気づけなかったものを浮き彫りにする。それは、自分の成長の証でもある。

結局、過去を否定することはできないが、そこから学ぶことはできる。過去の私の行動が、今の私に良心を呼び起こし、新しい価値観を与えている。自分の過ちに気づいたとき、私たちはその瞬間から変わり始める。

そして、その気づきこそが、次の一歩を踏み出す力になるのだろう。過去に後ろめたさを抱えていても、その経験を持って、より誠実な選択をしていくこと。それが、未来への贈り物になるのかもしれない。

ワークショップ:こころの

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